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オイルキャッチタンクって自作できるの?その構造はどんなもの?

オイルキャッチタンクと聞いてピンときた方はもしかすると既に自作オイルキャッチタンクをつけてらっしゃる可能性が高いですね。しかし、その自作オイルキャッチタンクの構造はどのようなものですか?今回は自作できるオイルキャッチタンクの構造をご紹介します。

オイルキャッチタンクってどんなもの?

今回は自作のオイルキャッチタンクの紹介をしますが、そもそもオイルキャッチタンクとは何なのでしょうか。
どういった役割で、どこについているものなのでしょうか。

オイルキャッチタンクは、クランクケースブリーザーの出口に設け、ブローバイガスと共に排出されるオイルを受け止める部品のことです。
オイルキャッチタンクはブローバイから水分やオイルミストを除去したり、ピストン吹き抜けを伴うエンジンブローが発生した際にオイルがエンジン外部に撒き散らされることを防止したりといった役割があり、レース車などには必ず取り付けてあります。

つまりは…

エンジンは密閉されているからこそ、その圧力により強いパワーを生み出します。ですが、エンジン内部の空気が熱で膨張して大きく膨らむとエンジン内がパンパンになり逆にエンジンの抵抗になります。
その空気を逃すための小さな穴にブリーザーホースがつながっています。

エンジン内が高温になった時に少量ですがエンジンオイルが蒸発し、ガスと一緒にこのブリーザーホースを通ってエンジンから外に出ます。
ホース内で冷やされたオイルは当然液体に戻るので、ガスに混ざったオイルが放出されます。これをそのまま放出すると道路にオイルをまいているのと同じため、危険です。
そうならないためにオイルを受けるタンクを途中に設けて、オイルだけをエンジンに返そうというのがオイルキャッチタンクの役目です。

各メーカー純正で取り付けられるオイルキャッチタンクはオイルや水を溜めておくタンクではなく、オイルセパレーターとして機能し、分離された水分や油分はセパレーター底部の管を通ってクランクケースへ戻されます。
またブローバイの発生量が相対的に少ない軽自動車などには装備されないことも多いため、耳慣れない言葉なのです。

そんな役割を担っているオイルキャッチタンクを自作することなんてできるのでしょうか。
実は自作のオイルキャッチタンクをつけている人は意外に多いのです。
今回は自作オイルキャッチタンクを考えている人のために、オイルキャッチタンクの構造を紹介したいと思います。

自作オイルキャッチタンクの作り方①

自作オイルキャッチタンクの作り方①として、インレット側パイプが底の方まで伸びているタイプのオイルキャッチタンクの構造をご紹介します。
オイルキャッチタンクを自作する際の参考になればうれしいです。

インレット側パイプが底のほうまで伸びているタイプ

これがもっとも注意が必要な構造で、できればあまりオススメできるものではありませんが、気液分離性能では優れるため、市販品ではこのタイプがもっとも多いです。
溶接や制作技術の高い方はこちらのタイプの自作に挑戦されてもいいと思います。

このタイプの内部構造はこのようになっています。
このタイプは少しオイルが溜まるだけでもすぐにインレット側のパイプ出口 が液体で塞がれてしまうことから、頻繁にドレン排出をしてやる必要があります。

この構造タイプの欠点としては、オイルや水がたまりやすいということです。
ドレン排出を忘れていた場合、最悪のケースにつながることもあります。

排出を忘れてオイルや水分が溜まって、このような状態になると液面がブローバイ出口を塞いでしまいます。
そうなるとブローバイガスの抜けが悪化するばかりではなく、最悪エンジンブローも起こりかねません。

特に危険なのは水分の多く発生する冬季に内部で凍りついてしまうとブローバイガスがまったく抜けなくなり、クランクケース内圧が上がり続けることになります。
そうなるとオイルレベルゲージが 吹き飛んだり、タービンからオイルが漏れてマフラーから白煙を吐いたり、オイルシールやパッキンからのオイル漏れや、最悪はこれらシール類が抜けてエンジントラブルに至ってしまう危険性があるのです。

PCVバルブというものがついているタイプのエンジンであれば低負荷時にはPCVバルブからガスが抜けてくれますが、エンジン回転を上げてブローバイガスの発生量が多く内圧が上がってくると、とてもPCVバルブの流量だけでは足りなくなります。
特にターボエンジンではブーストがかかるとPCVバルブは完全に閉じますので、ガスの抜け道が完全に塞がれてしまいます。

そのため、この構造のオイルキャッチタンクを自作する場合には、インレットパイプ下端部に液面が達する前に頻繁にドレンの排出してやらないといけないという注意点があります。
こまめに整備、点検ができるタイプの方は、このタイプの自作をオススメします。

自作オイルキャッチタンクの作り方②

次は自作オイルキャッチタンクの作り方②として、見た目は①のタイプと似ていますが、中の構造が違うというタイプのものをご紹介します。

内部仕切りバッフル板タイプ

この構造は比較的安全で、また気液分離も効率良くおこなえるため自作するにはオススメの構造と言えます。
では、具体的に見ていきましょう。

内部仕切り板タイプの内部構造はこのようになっています。
このタイプはインレットパイプ、アウトレットパイプともに上部に開口しているため、内部にかなり液体が溜まってもパイプが塞がれる心配はありません。

構造も簡単で初心者や苦手な方にも自作しやすい構造になっています。
①のタイプのようにインレットパイプがふさがる心配がないからと言って、ドレン排出をさぼってはいけません。
定期的に、特に冬場は頻繁にドレン排出を行ってください。

自作オイルキャッチタンクの作り方③

自作オイルキャッチタンクの作り方③はもっと単純な構造のタイプになっています。
では、その構造をご紹介します。

もっとも単純な異長パイプ突き出しタイプ

これは極めて簡単な構造のタイプで、内部に突き出したパイプの長さを変えただけのものです。
非常に自作しやすいタイプです。

異長パイプ突き出しタイプの構造はこのようになっています。
内部に長く突き出したほうがエンジンからのインレット側、突き出してないほうがアウトレット側となります。
このタイプもバッフル板タイプと同様に上の方まで液体が溜まっても危険はありません。

ただし、極めて単純な構造 のため、気液分離性能ではやや劣り、効果的なオイルミスト及び水分の回収は望めないようです。
しかし、つけてないよりはマシですし、エマルジョンが多く溜まってもトラブルの心配も少ないのもうれしいですね。

自作オイルキャッチタンクの注意点

次はオイルキャッチタンクを自作する際の注意点を紹介します。

ここで紹介した以外にも複雑な構造のオイルキャッチタンクを自作している人が多いようです。
内部にステンレスウールを仕込んだものや上下2段、3段式に仕切られているもの、内部にパンチングパイプや穴あきプレートが入っているタイプなどがあります。
しかし、凝った構造をしすぎてガスの流路抵抗が大きくなってしまっているものもあるため、そういうタイプは避けた方が良いようです。
あくまでもシンプルなものがいいようですね。

オイルキャッチタンクの取り付け位置

最後はオイルキャッチタンクの取り付け位置をご紹介します。
せっかく、自作でいいオイルキャッチタンクができたのに、取り付け位置を間違っては意味がありません。
よく勘違いされやすいオイルキャッチタンクの取り付け位置を確認してみましょう。

オイルキャッチタンクは冷却系統のエア抜きタンクと勘違いされて、低い位置に取り付ける方がいいと言われたりします。
しかしオイルキャッチタンクは冷却系統のエア抜きタンクとは違いますので、高さは低くても高くても関係ありません。

設置場所はエンジンルーム内のどこが最適かというのも特にありませんが、気液分離という観点からすると、なるべく温度の低い場所に設置したほうが水分を取り除く効果が促進されると言われています。

ただ、ひとつ注意すべきなのはホースの取り回しで、エンジンのブローバイ出口かオイルキャッチタンクまでの間に「たるみ」ができるような状態にしてはいけないということです。
ホースがたるんでいると、そこにオイルや水分が溜まってしまい、それが冬の寒さで凍ってしまうとブローバイホースが塞がれたのと同じになってしまいます。
そうなるとエンジントラブルの原因になってしまいます。
エンジンとオイルキャッチタンク間のホースに液体が溜まらないように配慮して取り回し配管をすることが一番重要なポイントとなります。

自作オイルキャッチタンクのまとめ

いかがでしたか。

オイルキャッチタンクは市販でももちろん手に入りますが、それなりの値段がします。
しかし、オイルキャッチタンクの構造さえわかれば、ホームセンターや100均でも材料がそろいます。
あとはやる気と技術次第で簡単に自作できてしまいます。
空き缶やペットボトルなどで自作している人も多いので、いろいろと検索して予算に合う材料を探して、自作してみてもいいのではないでしょうか。

レースに出なくても、ファッション感覚でもいいです。
ただ、きちんとした構造の意味あるオイルキャッチタンクなら言うことなしですね。
オイルキャッチタンク、自作してみませんか?

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