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国交省が注意喚起、オートマ車のエンストが引き起こす事故になる事例

MT車に乗っているドライバーは、エンストは日常茶飯事。だが、日ごろオートマ車に乗っている人やオートマ限定免許を取得した人は、今までにエンストに遭遇したことがないかも知れない。国土交通省では、オートマ車がエンストし、事故になる事例とその対処法を紹介しています。

オートマ車がエンスト!?

 近年急増しているオートマ車のエンストが原因による事故について、その原因と対処法について紹介します。
エンストと言えばマニュアル車しか起こらないと思い込んでいる人が多いと思います。しかし近年では、オートマ車でのエンストが増加しており、突然のエンストに驚き事故に繋がるケースが多くなっているようです。

オートマ車がエンスト!?

オートマ車はエンストしないと安心していませんか?
オートマ車であっても、坂道でシフトレバーの操作を誤るとエンストを起こす恐れがありますので、注意してください。

トラブルの発生状況

 国土交通省が公表しているデータによると、エンジン停止走行によるブレーキ、パワーステアリングの失陥が推定されるトラブルは平成23年から平成25年までに111件報告されています。その内死傷事故が12件あり、エンストにより道路脇の崖から車が転落するなどして、1人が死亡、11人が負傷しています。

平成23年から平成25年までのエンストまたはエンジン停止走行によるブレーキ倍力装置、パワーステアリング失陥と推定されるトラブルの報告件数推移です

ブレーキ倍力装置、パワーステアリング失陥の発生場所

 エンジン停止走行が起因の事例(111 件)におけるブレーキ倍力装置、パワーステアリング失陥の発生場所は、下り坂 73%(81 件)上り坂 13%(15 件)、その他 10%(11件)、不明 4%(4 件)であり下り坂で多く発生しています。具体的状況としては、
● 下り坂途中で駐車後の降坂時、
● 下り坂上方にある駐車場からの出庫後の降坂時、
● 下り坂で一旦後退後に前進する際、
● 下り坂で対向車に道を譲るため一旦停止後の降坂時
などに多く報告されています。

オートマ車がエンスト!?

発生場所は、下り坂 73%、上り坂 13%

オートマ車がエンストする原因・状況

 それではなぜオートマ車のエンストが発生するのでしょうか?その原因は「ドライバーの操作ミス」です。具体的には、坂道等においてオートマのシフトレバーを前進の位置「D」にしたまま惰性で後退したり、後退の位置「R」にしたまま惰性で前進するなど、走る向きとオートマのシフトレンジが合っていないとエンストを起こしてしまいます。
その結果ブレーキが利きにくくなったり、ハンドル操作が重くなって操舵できなくなることで、衝突や転落などの事故が発生しています。

坂道におけるエンスト等の発生原因別の割合

エンジン停止走行の発生原因としては、図に示すように、後退レンジで前進したもの 27%
(30 件)、前進レンジで後退したもの 9%(10 件)、エンジンを始動させず進行したもの 36%(40
件)その他 10%(11 件)不明 18%(20 件)となっている。

 また、近年増えてきているプッシュ式スタート装置装着車においても、坂道での発進時に始動操作を誤るなど、エンジンがかかっていないまま走行したことで同種の事故が発生しています。

プッシュ式スタート装置装着車

年々増えているプッシュ式スタート装置装着車。

オートマ車のエンストを発生させないためには

 オートマ車は「後退レンジで前進して坂を下る」または「前進レンジで後退して坂を下る」とエンストします。
プッシュ式スタート装置装着車では、ブレーキを踏まずにプッシュボタンを押すなど始動操作が正しくないとエンジンはかかりません。

オートマ車がエンスト!?

オートマ車を発進させるとこは進行方向とオートマのシフトレンジ位置を合わせましょう。

 オートマ車を上り坂や下り坂で発進するときには、必ずエンジンが始動していることを、メーターパネル内の警告灯、エンジン回転計などで確認しましょう。そして、必ず動き出す前に、車両の進行方向とオートマのシフトレンジ位置が合っているかを確認しましょう。

オートマ車がエンスト!?

発進する前に、エンジンが始動していることを確認しましょう。これはオートマ車もマニュアル車も同じです。
エンジンが動いていなければ回転計は0を指しますし、各種警告灯が点灯します。

 これらの注意ポイントは、駐車していたオートマ車を発進させるときだけではありません。坂道の途中や傾斜のある場所(例えば駐車場の出入り口や踏切など)で一旦停止し、再発進するときも同様です。

エンストしてしまった際の対処法

 それでもエンストしてしまった場合の対処法です。オートマ車に限らず、エンストしたクルマはブレーキが利きにくくなったり、ハンドル操作が重くなります。

オートマでエンストしてしまうことを知っていますか?

この現象は映像で使用している車両や特定の車種の不具合により発生する現象ではありません。オートマ車全般で発生しますのでお気をつけください。なお、事故に繫がるおそれがありますので、個人での実験等はお止めください。

ブレーキへの対処

 ブレーキペダルの踏み直しを複数回行うと、ブレーキ倍力装置のアシスト機能が減少し、ペダルが硬くなり効きにくく通常と同じ距離で停車するために必要な踏力が増加します。ブレーキペダルを一度で踏み込んで一気に停車させましょう。

ハンドルへの対処

パワーステアリングはアシスト力が減少し、必要な操舵力が大きくなります。ハンドルが重く切りにくくなるため、いつも以上の強い力でしっかり操舵しましょう。

まとめ

オートマ車がエンスト!?

オートマ車はエンストしないと思い込んでいるだけに、エンストすると故障か?と思ってしまい、どうしても焦ってしまいます。

 オートマ車のエンストが原因とした事故は、そのメカニズムをしっかりと理解することで事故の発生リスクを大きく減少させることができます。常日頃から正しい操作を心がけ、万一発生した場合でも冷静に対処し、事故を未然に防止しましょう。

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