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交通事故が起きた時に必要となる医師の診断書について説明します。

交通事故において必要となる書類に「診断書」があります。診断書とは、医師が患者の診断結果を記載した書類のことですが、交通事故解決において、「なぜ」医師の診断書が必要になるのでしょうか。今回は交通事故が起きた時に必要となる診断書について説明します。

〔交通事故の診断書〕警察に診断書を提出する

交通事故には「物件事故」と「人身事故」の2種類があります。交通事故で怪我を負った場合、きちんと「人身事故」にしておくことが重要です。

交通事故

というのも、警察は、物件事故の場合は、きちんとした実況見分を行わず、「物件事故報告書」という非常に簡単な事故状況の説明書を作成して事件終了にしてしまうことがほとんどです。この場合、示談の際に過失割合でもめるようなときに、少し困ったことになります。なぜなら、警察がきちんと実況見分をして、それを実況見分調書にしているのであれば、その調書を開示してもらって、それをベースに加害者と交渉をすることができますが、物件事故報告書しかないとなると、詳しい事故状況が分からないので、交渉のベースにする資料がない、ということになってしまうからです。

そのため、警察には、きちんと「人身事故」として届けましょう。人身事故にするためには、警察に病院の診断書を提出する必要がありますが、交通事故から1カ月以上経ってから警察に診断書を持っていっても、警察が受け付けてくれないことがあります。

交通事故の診断書

交通事故に遭ったらできるだけ早く病院から診断書を取り付け、警察に提出するようにしましょう。

人身事故届けをするためには医師に診断書を書いてもらいますが、それには傷病名などのほかに、治療期間が書かれています。 打撲や捻挫などの場合は大抵10日から2週間となっています。 これはその診断書に書かれている期間しか治療できないとか、その期間で治るのが普通とかいうことではありません。 もちろんその期間で治るケースもあるでしょうが、多くは実態にそぐわない期間が書かれているようです。

交通事故

それでは何故そのような短めの期間になっているのかというと、次のような規定の影響もあるようです。
道路交通法施行令別表2では、交通事故の行政処分の付加点数として次のように定められています。
『治療期間15日以上30日未満の軽症事故では、責任の程度が重い場合は6点、軽い場合は4点。 治療期間15日未満の軽症事故では、責任の程度が重い場合は3点、軽い場合は2点。』

交通事故の診断書

交通事故を保険会社へ連絡して、病院でもらった診断書を警察へ提出する。

治療見込み期間が長くなると、加害者の処分が重くなるということが意識されているようです。

〔交通事故の診断書〕保険会社に診断書を提出する

交通事故で怪我をしたと思ったら、加害者の任意保険会社に連絡して、すぐに病院に行くようにしてください。交通事故後かなり時間が経ってから病院に行った場合、保険会社から、交通事故と症状との関連性について疑いの目を向けられることがあります。

交通事故

加害者の保険会社とすぐ連絡がつかない場合でも、病院にはすぐに行くべきです。その場合、治療費をいったん被害者が立て替えたときには、病院から領収書をもらって保管しておく必要があります。

通常、いわゆる症状固定とされる時期までの治療費は、加害者の任意保険会社が病院に直接払ってくれます

〔交通事故の診断書〕タクシーや個室利用

保険会社には通院交通費の請求ができますが、交通費の算出は、原則として、自家用車や公共交通機関の利用を前提として行われます。また、入院費用も、原則として大部屋利用を前提として算出されることになります。タクシーでの通院や個室での入院費用は、それらを行う必要性が立証されなければ認められません。

交通事故

したがって、タクシーや個室を利用する場合には、まず医師の判断を仰ぎ、それらを利用する必要がある旨の診断書を作成してもらうようにしましょう。

保険会社のお金での治療は症状固定まで

治療により怪我が完治すればそれが最も良いのですが、残念ながら、ある時点から、治療を続けても症状が改善していかないということがあります。このような状態を「症状固定」といいます。症状固定以降であっても、労災や健康保険を利用しての治療はもちろんできますが、保険会社からの治療費の支払いは打ち切られることになります。

交通事故

症状固定がどの時点か、ということについて、一番影響力を持っているのは、被害者の主治医です。保険会社から症状固定について持ちかけられた際には、医師と症状固定時期について話し合うことが必要です。

〔交通事故の診断書〕後遺障害等級申請

症状が残ってしまったら後遺障害等級申請

怪我が完治せずに、痛み等の症状が残ったまま症状固定となってしまった場合、加害者の自賠責保険に対して後遺障害等級の申請をすることができます。この申請を行うことで、残存してしまった症状が後遺障害等級に該当するか否か、該当するのであれば何級何号に当たるのかを判断してもらうことができます。

交通事故

後遺障害等級が認定された場合、怪我をして通院したことに対する慰謝料とはまた別の、「後遺障害慰謝料」といわれる慰謝料を請求することができます。また、後遺障害残存による将来の収入減少に対する補償である「後遺障害逸失利益」というものも請求することができるようになります。つまり、後遺障害等級が認定されれば、示談金額は増えることになります。

症状固定を迎えても症状が残存していると感じる場合には、後遺障害等級の申請を検討しましょう。

後遺障害診断書の作成をお願いする

後遺障害申請を行う場合、医師に「後遺障害診断書」を作成してもらいましょう。これには、これまでの症状や検査結果、治療内容の総括、症状固定日、症状固定時の症状、症状の今後の推移見込み等を記載してもらうことになります。

交通事故の後遺障害

人身事故の場合は、警察に提出する診断書以外にも、自賠責保険の請求に必要な診断書を病院で書いてもらいます。警察に出すものは病院に備え付けの診断書の様式で 構いませんが、自賠責保険請求用の診断書は書式が決まっており、病院に備え付けていない場合が多いです。加害者が任意保険に加入している場合は、任意保険会社の人が 自賠責保険請求の手続きを『一括払い』という形で代行してくれるケースがほとんどですが、 自分で自賠責保険を請求する場合は診断書の書式を病院に持って行ったりする必要もあります。

自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書

自賠責保険の請求のためには、診断書とセットで診療報酬明細書というものも病院で書いてもらいます。 この書類には何月何日に通院したとか、どのような検査や治療を行なったのかなどが詳細に記入されていますので、後遺障害認定を受ける際にも参考になる資料です。 診断書や診療報酬明細書の発行は有料ですが、その料金は自賠責保険に請求できます。

〔交通事故の診断書〕後遺障害認定の異議申し立てをする

後遺障害認定の異議申し立てをする場合に作成してもらう診断書は、医師も何を書けばよいのかわからないのが普通です。 ただ「異議申し立てに使うのでもっと詳しく診断書を書いてください」と頼んでも患者側の意図が伝わらないため、 情報不足の診断書が発行されているケースが多いです。それを防ぐには、記載内容を具体的に絞って依頼する必要があります。

交通事故

〔交通事故の診断書〕まとめ

交通事故の診断書について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
交通事故の診断書は上に述べてきた提出先以外にも、勤務先を欠勤するために書いてもらう診断書や、被害者自身が加入している傷害保険の請求のために書いてもらう診断書などがあり、それぞれ様式が決められているものもあるかと思います。

交通事故の診断書

交通事故の診断書を書いてもらうときは、提出先に決められた様式があるのか否かの確認を取ってください。

交通事故の診断書の説明、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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