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実は暗算でできちゃう!?簡易版トルクの換算方法!kgf・m⇔N・m

車のカタログ等のスペック欄に記載されている最大トルクですが、単位が一昔前と現在とで違うので未だに馴染めない人も多いのではないでしょうか?でも実はトルクの換算はおよその数値であれば簡単にできます。ここではその換算方法を紹介します。

トルクの換算方法

トルクの換算 [N・m]⇒[kgf・m]

トルクの現在の単位[N・m]を従来の単位[kgf・m]に換算する式がこれです。
1[N・m]=0.10197162[kgf・m]
となります。

トルク換算表1

トルク1[N・m]を[kgf・m]に換算すると0.101971・・・・と続きますが0.102としています。

0.102って事はほぼ0.1ですね。つまり、1[N・m]はほぼ0.1[kgf・m]という事になります。
簡易的な換算方法としては要するに桁を1つずらせば良いわけです。

●例題
350[N・m]のトルクを[kgf・m]に換算すると?
350 × 0.1 = 35
答え 35[kgf・m]
となります。

トルクの換算 [kgf・m]⇒[N・m]

従来表示の単位[kgf・m]から現在の単位[N・m]へ換算する式です。
1[kgf・m]=9.80665[N・m]
となります。

トルク換算表2

トルク1[kgf・m]を[N・m]に換算すると、9.8006・・・と続きますが9.807としています。

9.807ってほぼ10ですね。つまり1[kgf・m]はほぼ10[N・m]となります。
さっきと逆の事をやっているので当たり前ですけどこちらの換算も桁を1つずらせば良いです。

28.5[kgf・m]のトルクを[N・m]に換算すると?
28.5 × 10 = 285
答え 285[N・m]
となります。

誤差はどれくらい?

少数部を端折って換算している為当然その分誤差が生まれます。
表の数値を使って先ほどの例題を見てみましょう。

350[N・m]⇒[kgf・m]の場合
350 × 0.102 = 35.7
簡易換算法での計算結果が 35 でしたから誤差は 0.7 です。
これぐらいの誤差なら許容範囲ではないでしょうか?

そもそもトルクとは何?

トルク

簡易的な換算方法がわかったところで、そもそもトルクとは何なのかを簡単に説明します。

トルクとは回転させる力の事です。
5[kgf・m]のトルクであれば回転の中心から1m先に5kgの力があるという事です。
イメージとしては1mの棒の端を持ってもう一方の端に5kgの重りを付けます。それを掴んでいる手を中心に上に揚げる(回転させる)力といった感じです。

車のエンジンの場合、回転の中心はクランクシャフトの中心ということになります。
そしてそこから半径1mのところに力があるという訳です。

レンチで締める場合の力

図のようにトルクは力と長さをかけたものです。長いレンチ程が小さい力で強く締める事ができます。

エンジンの場合軸(クランクシャフト)から力を受けますが、レンチの場合は軸(ナットかボルト)に力を加える為、力の働く方向は変わります。
その為エンジンの場合は軸に近い程大きな力を使う事ができ、レンチの場合は軸から遠い程大きな力を加えられるという事になります。

トルクレンチ

タイヤ交換作業等ではナットを締める力を一定にする為にトルクレンチという物を使ったりします。
車関係でトルクと言えばエンジンがこれです。

トルクレンチ

設定した力で締めつけ、締めつけの不足や超過を防ぐ為のレンチ。

トルクレンチはタイヤの交換作業時に有ると便利です。柄が長いほど小さい力で締める事ができますが、場合によっては長いと使いづらくなるので注意してください。設定値以上のトルクがかかると音と手ごたえで知らせてくれます。設定するトルクの単位は[N・m]が使われています。

トルクレンチの使い方

トルクレンチの詳しい使い方を紹介した動画です。

動画では使い終わったら設定値を最低に戻す事を奨めています。また、やってしまいがちですがナットを緩める様な使い方もトルクレンチにとって本当は良くないんですね。

どうして単位が変わったの?

平成4年の計量法の改正により従来のメートル単位系から国際単位系(SI)へと変わりました。日本のメートル単位系は多くの重力単位系を含んでおり、国際的に定められた国際単位系を導入し重力単位系の単位の使用を廃止、絶対単位系で統一する事が狙いでした。

トルクの単位ですが重力単位系が[kgf・m]、国際単位系が[N・m]である為計量法に則りカタログや工具類の単位が変わりました。

手で感じる重さ

この重さが手にかかっている力です。重みを知っていれば力をイメージし易いと思います。

やっぱり[N・m]より[kgf・m]の方が力をイメージし易くないですか?重さの単位の[kg]は日常で使われている為、重さを力として想像しやすいですよね?ただ、トルク[kgf・m]は直接手にかかる重さではなくて1m先にかかる重さ[kg]ですけど。(前述の棒の例)
今でも車のカタログ等は[N・m]と[kgf・m]が併記されている事が多く換算の手間が減っています。

出力の単位も変わりました

法改正によって変えられた単位はトルクのものだけではなく様々なものの単位が変わりました。
とりわけ車に関係するのは最高出力とかの出力の単位でしょうか。
以前は[PS]を使っていましたが現在は[kW]が使われています。これも換算してみます。

出力の換算

出力換算表

1[kW]を[PS]に換算すると1.359・・・と続きますが1.36[PS]とします。

最高出力が150[kW]の車であれば
150 × 1.36 = 204[PS]
最高出力204馬力という具合に換算できます。

トルクと出力と回転数の関係

アクセルを開けエンジン回転数を上げると出力も増し加速しますが、回転数を上げれば上げる程どこまでも出力が上がっていく訳ではありません。ここではエンジンの回転数とトルク、出力の関係を説明します。

性能曲線

性能曲線

スバルのFB16エンジンの性能曲線を例にします。

最大トルクのエンジン回転域が1800~4800回転と幅広いバンドを持っています。
最高出力も4800~5600回転とある程度の幅を持っています。
しかし回転数を上げても5600回転を超えた辺りから出力が下がってしまう事がわかります。
これはトルクが4800回転をピークにそれ以上の回転域では下がってしまうからです。

出力を算出

馬力=トルク×回転数×0.001396

出典:http://www.geocities.co.jp

この式で出力が求められます。

馬力[PS] = トルク[kgf・m] × 回転数[rpm] × 0.001396
単位を入れるとこの様になります。
トルクが[N・m]の場合は[kgf・m]に換算してください。
計算結果は馬力[PS]なので[kW]の結果が欲しい場合は換算してください。

グラフから回転数が6000回転だとトルクは大体200を切った辺り195[N・m]とします。簡易換算して19.5[kgf・m]。
19.5 × 6000 × 0.001396 = 約163[PS]
最高出力の170[PS]を下回ってしまいました。

いくら回転を上げてもトルクがないと出力も出ないという事で、トルクは出力に大きく影響する事がわかると思います。

馬力とトルクとギアレシオ

馬力やトルクとギア比が加速にどう関係するのかを解説している動画です。

馬力がなければ当然速くはないですが、それでも単に馬力があれば速いっていう訳じゃないんですね。あらゆる要素が関係しています。

最後に

長々と色々な話になってしまいましたが今回のメインはトルクの換算でしたね。どうでしたか?桁をずらすだけの簡単な方法で大体の値を求められます。機会があれば是非この方法で換算してみてください。

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