どうなるの?高齢者の運転免許証 / 自主返納制度は機能している?

昨今、立て続けに起きている高齢者ドライバーによる悲惨な事故と運転免許証自主返納についての実態が報道されています。運転免許証の自主返納制度は定着しているのか?効果があるのか?そもそも事故を減らすためには運転免許証の自主返納制度しかないのか?

激増する高齢者ドライバーの事故

〈また高齢者事故 2人死亡〉(11月13日付読売)

〈高齢者運転 また悲劇〉(同産経)

〈高齢運転事故 また〉(同東京)

 大手6紙のうち3紙が同じコピーを使ってしまうほど、12日に東京・立川市で起きた事故は、誰もが「またか……」との思いを抱いてあまりあるものだった。

出典:http://news.livedoor.com

高齢者ドライバーの事故に多いパターンは、「ブレーキを踏まずアクセルを踏んだ」、「信号無視」、「高速道路の逆走」などです。

運転免許証 返納 年齢

行政側が運転免許証を自主的に返納してもらいたい年齢層は高齢者をターゲットにしているもようですが、日本の総人口に占める高齢者の割合はどうなっているのでしょうか?

一般的に65歳以上の人を「高齢者」といいます。
総人口に占める65歳以上の割合が7%を超えて高齢化の進展にある状態を「高齢化社会」といい、14%を超えて高齢化の進展がある程度に達し、ほぼ定常状態になる社会を「高齢社会」といいます。そして21%を超えると「超高齢社会」となります。
日本では1970年に7%超、1995年に14.5%超、2007年に21%超となり、2016年現在は、日本の人口の実に27.1%が65歳以上となっています。

運転免許証返納の制度

制度概要

運転免許証の自主返納制度とは、加齢に伴う身体機能や判断力の低下により、運転に不安を感じる方などが、自主的に運転免許証の取消し(全部取消し又は一部取消し)を申請することができる制度です。平成10年の道路交通法の改正により、制度が開始されました。

出典:http://www.pref.kyoto.jp

あくまで「自主返納」ですから、制度上の「運転免許証の返納」に強制力は伴いません。

制度の背景

自主返納制度の背景として、西暦2060年には、2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上(※)となる社会が到来すると言われている中、高齢運転者数が年々増加しており、全事故に占める高齢ドライバーによる事故の割合が平成16年から平成25年までの10年間で約2倍に増加していることなどが挙げられます。

(内閣府:平成26年版高齢社会白書より)

出典:http://www.pref.kyoto.jp

運転免許証 返納 特典

運転免許証を返納した後

運転免許証を返納した後、「運転経歴証明書」を取得していろいろの特典を受けることができます。たとえば、バスやタクシーの料金割引、メガネの購入割引、宅配料金のサービスなどがありますが内容は各地方によって異なります。

運転免許証 返納 証明

運転免許証を返納した場合、「運転経歴証明書」の申請をすることができます。「運転経歴証明書」とは、運転免許証の返納をした方が交付申請できる証明書のことで、運転免許証の返納前5年間の運転経歴の他、申請者の住所・氏名・生年月日などが表示された、運転免許証と同じサイズのカードです。

平成24年4月の道路交通法の改正で、「運転経歴証明書」の申請ができる期間が、運転免許証の返納後5年以内に延長されたほか、本人確認書類としての利用可能期間は無期限になり、記載事項変更や再交付を受けられるようになりました。

出典:http://www.pref.kyoto.jp

運転免許証を返納した後に、「運転経歴証明書」の申請制度が備わっているのは全国で共通しているようですが、運転免許証自主返納を積極的に促進する目的で、たとえば山形県遊佐町のように「運転経歴証明書」の取得の有無にかかわらず、返納者に独自の特典を与える制度を設けている地方自治体もあるようです。

運転免許証の自主返納制度は機能しているのか?

高齢者による悲惨な事故を減らすために運転免許証の自主返納制度が創設されたわけですが、果たしてこの制度は機能しているのでしょうか?メディアの取材による高齢者ドライバーの運転免許証返納への思いを聴けば、十分に機能していないと感じざるを得ません。

高齢者ドライバーが運転免許証の自主返納を疎む理由

警察が高齢者に運転免許証の自主返納を呼びかけに躍起になっているのに、すぐに返納に応じる人はいません。

高齢者ドライバーが運転免許証の自主返納を疎む理由は、大きく分けて2つあると筆者は考えます。

1. 本人が判断能力・身体的能力が低下していると自覚していないこと。

2. 車を運転できなくなる結果、生活に重大な支障を来すという不安感。

本人が判断力・身体的能力が低下していると自覚していない

認知症はもちろん、認知症でない場合でも本人が自分の判断能力・身体的能力が低下していると自覚していないケースがメディアのインタビューより窺えます。

複数の高齢者へのインタビューでは、「何十年も毎日運転し続けているのだから大丈夫・・・」「一度も事故を起こしたことがない・・・」「自分は運転能力は衰えていない・・・」「死ぬまで運転し続けて大丈夫・・・」などの返答が見られました。

たとえば、望ましい運転時の視界が90度であるのに対し、65歳以上になれば60度に狭まれるケースが多いのですが、自覚していない人がほとんどでしょう。
また、若い世代に比べて瞬発力、咄嗟の判断能力、記憶力が衰えていたとしても、それを認めたくないまたは自覚していないケースが多々あるでしょう。
自覚していないケースは、とくにベテランの高齢者ドライバーが多く持つ慢心によるものとも言われています。

車を運転できない日常生活への不安

都市部に比べて地方の方が車を日常的に運転する高齢者が多いのは統計的な数値として検証されています。
地方では「バスが1日にわずかの本数しかない」あるいは「交通手段そのものがない」ところがあるのが現状です。
病院にいけない・・・日常の買い物ができない・・・返納後のフォロー(支援制度)が十分でないとなれば不安が生じるのは当然であり、運転に自信がなくても無理して運転を続けることになるわけです。

どうしたら高齢者ドライバーの事故を減らせるか?

前述のように運転免許証の返納を疎む理由が、
1.判断能力と身体的能力低下の自覚のなさ
2.車を運転できない日常生活への不安
であれば、

1.については自主返納を促すというより、認知症と身体的能力の検査をこまめに実施し、運転能力基準を満たしていない人には免許を与えない方向へと制度を厳しく改正することが考えられます。
現行では、75歳以上に義務付けられた記憶力や判断力を測定する検査で、講習予備検査(認知機能)というものがありますが、72歳以上の免許証有効期間が「3年間」ですから、検査は3年の周期でしかやって来ません。それでは予防機能としてはあまりにも手薄と言わざるを得ません。

2.については十分な移動の代替手段を確保することが考えられます。
たとえば、タクシー、共同乗合自動車利用支援について費用的、頻度的にマイカーを利用していたときと同じ状態が確保できるよう行政側が積極的な具体策を採ること(支援費用を地方自治体で捻出できなければこれは国政上の問題ですが・・・)。
などが考えられます。
現行の制度では、「タクシー代の1割を補助する・・・」などの支援に留まり代替策とはほど遠い状況と言わざるを得ません。

終わりに

運転免許証の自主返納に応ずる高齢者が少ないのはなぜなのか、その原因を的確に調査するとともに高齢者が車を運転しなくても安心して暮らせる社会を創りあげていくことがこれからの重要な課題と言えます。

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