記事ID8880のサムネイル画像

グループBのラリーマシンであるランチア・デルタS4について紹介!

今回紹介する車は、「狂気」とも言われたグループB車の走るラリー時代に活躍したランチア・デルタS4です。「公道を走るF1」の異名を取り、当時のF1マシンにも引けを取らない加速性能を誇ったランチア・デルタS4の性能や歴史、ラリーでの活躍について紹介していきます。

ランチア・デルタS4の参戦したグループBとは?

ランチア・デルタS4

今回紹介する、ラリー界の伝説となったマシン

ランチア・デルタS4を紹介する前に、まずはグループBとは何かを紹介します。

WRC(世界ラリー選手権)

世界各国で行われるラリーの世界選手権

グループBとは、自動車競技カテゴリーの一つで、一般の市販車として公認されたベース車両に大幅な改造を施す事が可能な競技カテゴリーでした。

グループBでは、1973年にあったオイルショックの影響から公認のベース車両の生産台数条件を大幅に下げ、多くのマニファクチャラーを募りました。

これにより、1982年から多くのマニファクチャラーが競って競技車を開発し、また追加のレギュレーション「ワークスカーとして参戦する車両となるエボリューションモデル20台をラリーカーとして認める」というレギュレーションに則って多くのモンスターマシンが開発される事になりました。

ランチア・デルタS4の誕生

上記の追加レギュレーションの中でマニファクチャラー達は改造に改造を重ね、ベース車両とはかけ離れたモンスターマシンを次々と生み出していきました。これが、グループBが「狂気の時代」と呼ばれた理由となります。

ランチア・デルタS4

グループB最後期に出現した、当時最強と言われたマシン

今回紹介するこのランチア・デルタS4も、そのモンスターマシンの一台に数えられます。
グループB最後期1985年のラリー世界選手権最終戦に投入され、圧倒的なパフォーマンスで衝撃のデビューを飾ったマシンです。

それでは、そのランチア・デルタS4の性能を紹介します。

モンスターマシンとまで言われたランチア・デルタS4

まずは、ランチア・デルタS4の沿革について紹介していきます。

ヘンリ・トイヴォネンの駆るランチア・デルタS4

狂気と言われた時代の終盤に登場したマシン。徹底的な軽量化と合理化が図られ、ラリードライバーでさえも手を焼いたほどのマシンに仕上がってしまう。

グループB初期〜中期、ランチアはアウディを始め多くのマニファクチャラーに遅れを取りました。また、中期以降はプジョーが「プジョー・205-16ターボ」というマシンを投入しました。このプジョーのマシンの登場により、ランチアは完全に一線級から退いてしまいました。

しかし、ランチアはグループBのホモロゲーション条件をクリアしたランチア・デルタS4を1985年の最終戦RACラリー(イギリス)で投入しました。最終戦からの登場でありながら、いきなりライバル達に大差をつけ、1-2フィニッシュという衝撃のデビューを果たしました。

では、このランチア・デルタS4がなぜモンスターマシンと言われたのか?
それは、徹底的な勝利への合理化と軽量化にありました。

ランチア・デルタS4の車体とエンジン

後ろのカウリングを外したランチア・デルタS4

ロールバーすらも組まれておらず、ほとんど皮を被せただけと言ってもおかしくない車体

モンスターマシンと呼ばれた理由としてはまず、その軽量化された車体と、人間の限界を超えたエンジンスペックにあります。

ランチア・デルタS4の車体のカウリングには、ケブラー樹脂(自転車や飛行機に使う樹脂)とプラスチックを使っており、エンジンはフィアット製の1,759cc直列4気筒DOHCエンジンにスーパーチャージャーとターボチャージャーを搭載したツインチャージャーエンジンを採用し、初登場時は456psを発揮しました。

ランチア・デルタS4の性能について

それでは、このランチア・デルタS4がどのようなスペックを誇っていたのかを紹介していきます。

ランチア・デルタS4

超強力なパワーでドライバーの限界を超えたマシン。スペックも規格外

ランチア・デルタS4の基本スペック

エンジン:直列4気筒DOHCツインチャージドエンジン
エンジン排気量:1,759cc
全長:3,990mm、全幅:1,880mm、全高:1,360mm
最大出力:456(〜600)ps/8,000rpm
最大トルク:46.0kgm/5,000rpm
車重:890kg
パワーウェイトレシオ:1.95(〜1.48)kg/ps

※1985年のランチア・デルタS4の詳細スペックを記載
※( )内のスペックは1986年後期のランチア・デルタS4の出力を記載

ランチア・デルタS4 ヒルクライム

ここに、ランチア・デルタS4のヒルクライム動画を掲載しておきます。
圧倒的なエンジン出力による加速性能が分かると思います。

ランチア・デルタS4をドライブしたラリードライバー

ミキ・ビアシオン(イタリア)

ランチア・デルタS4だけでなくデルタでも好成績を残した偉大なドライバー

まずはイタリアのドライバー、ミキ・ビアシオン氏。ランチア・デルタS4を駆ってWRC初優勝を飾るなど、華々しい成績を残しました。

ヘンリ・トイヴォネン(フィンランド)

現在でも伝説のラリードライバーの一人として数えられるドライバー

ランチア・デルタS4と言えば、フィンランドの天才ドライバーのヘンリ・トイヴォネン氏も居ます。「コースにマシンを留めておくだけで精一杯だ」と、グループBマシンの圧倒的すぎるエンジン性能に危険を訴えたドライバーでもあり、悲劇の事故死をしたドライバーでもあります。

ランチア・デルタS4は現在でも存在している

いかがだったでしょうか。今回は、狂気と言われた時代のラリーマシンであるランチア・デルタS4について紹介しました。

上記に掲載した動画のように、現在でもランチア・デルタS4は海外で「レジェンドラリー」などのイベントでエキシビション走行などが行われています。

ランチア・デルタS4の公道用ホモロゲーションモデル

ランチア・デルタS4 ストラダーレ

グループBのホモロゲーション取得のために世界限定200台で生産された

実は、ランチア・デルタS4はホモロゲーションモデルとしてストラダーレという名前を冠した車両が世界限定200台で生産されており、日本国内にも数台が輸入されました。

実際に、値段は「要相談」となっていますが、中古車の情報が国内に1台だけ存在しています。

このホモロゲーションモデルでも、市販車としてはかなりのスペックを誇る車両となっていますが、この記事を読んで興味を持った方は、一度この車の購入を検討してみてはいかがでしょうか?

関連する記事

この記事に関する記事

この記事に関するキーワード

キーワードから記事を探す

TOPへ