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日本へは正規に輸入されていなかった「BMW Z1」とは、一体どんな車?

BMW Z3やZ4につながるBMW Zシリーズの祖である「BMW Z1」。1987年のフランクフルト・ショウで発表されたBMWのオープン2シーター。鋼板モノコックシャーシーにFRPボディパネルを貼ったスタイリングも近未来のスポーツカー、それが「BMW Z1」。

BMW Z1の概略紹介

 BMW Z1は、BMW・フォルシュング&テヒニークで開発され、1989年3月から1991年6月まで製造された2シーター・ロードスターです。Z1は通常のヒンジドアのように外側やガルウイングのように上方に開く代わりに下方のドアシル(ドアの下部、前輪と後輪の間にある梁)内に収納される特異な構造でした。

BMW Z1

・ボディタイプ:2ドア・ロードスター
・全長3,925×全幅1,690×全高1,248mm(幌展張時:1,277mm)
・ホイールベース: 2,450mm
・重量:1,250kg
・最高速度:220km/h
・乗車定員:2人

 それではBMW Z1の性能、デザインと価格について、順次紹介しましょう。

BMW Z1の性能

BMW Z1のエンジン

BMW M20B25型エンジン

・エンジン形式:水冷直列6気筒12バルブ SOHC
・総排気量:2,494cc
・最高出力:170bhp(127kW)/5800rpm
・最大トルク:222N·m(164lb・ft)/4300rpm

BMW Z1の駆動系

 エンジン (BMW M20B25) とゲトラグ製260/5型5速マニュアルトランスミッションはE30の325iからの流用品です。2.5 L (2,494cc) 12バルブ SOHCエンジンは低いボンネットの下に収めるために20度右に傾けて搭載されました。このエンジンは素の状態で170bhpの出力と222N·mのトルクを発生しましたが、何社かのチューナーが改良やエンジン換装を施し性能向上を行いました。

BMW Z1のシャーシー、ボディ

 Z1は着脱式ボディパネル、連続亜鉛・シーム溶接の複合材製アンダートレー型床構造、そして異色の昇降式ドアといった幾つかの革新的な機構を備えていました。車の部品のいくつか(エンジン、トランスミッション、前輪サスペンションを含む)はE30の325iからの流用品でしたが、シャーシーは大部分がZ1独自のものです。

BMW Z1のシャーシー

シャーシは溶融亜鉛メッキ鋼板をシーム溶接した複合材製アンダートレー型床構造式モノコックです。

 ボディは3つ(または5つ、情報源により異なる)の異なる種類のプラスチック製で、シャーシから完全に取り外せます。側面パネルとドアはゼネラル・エレクトリック製の熱可塑性プラスチック (thermoplastic) のゼノイ (XENOY) 製で、ボンネットとトランク、屋根カバーはゼガー+ホフマン社 (Seger + Hoffman AG) 製のGRP部品です。

ボディパネルを外したBMW Z1

 Z1が発表されたとき、BMWは時に応じてボディの色を替えられるように、予備のボディパネルを購入をオーナーに勧めていました。

BMW Z1

 ボディパネルを外した状態でも走行は可能。

BMW Z1

 ボディパネルを交換するには、熟練したメカニックが40分以内で可能とされていましたが、実際には、2日間を要しました。

BMW Z1のサスペンション

BMW Z1の駆動系とサスペンション

 「Zアクスル」と呼ばれる後輪サスペンションはZ1用に特別に設計されました。これはBMW車が装着した最初のマルチリンク式サスペンションです。 このサスペンションは後に、「セントラルアーム式・リアアクスル」と呼ばれました。 直径15in(381mm)、幅7in(178mm)のホイールに前後とも205/55VR-15のタイヤを履いています。

BMW Z1のデザイン

 BMW Z1のデザインを紹介します。

 BMW Z1のデザイナーはハーム・ラガーイ、ハーム・ラガーイ(Harm Lagaay, 1946年12月28日 - )は、ポルシェ、BMW等のドイツ車のデザインで活躍した、オランダ出身の自動車デザイナーです。

BMW Z1

 今のBMWは、とってもアクの強いデザインを特徴としていますが、当時は、とってもフォーマルな上品なデザインでした。Z1も、くせのないシンプルなデザインです。

 車体全体は空力を考慮して設計されていました。特にアンダートレー型床構造全体が完全に平滑に整形され、マフラーと後部の遮風板は乱流と後輪の持ち上がりを防ぐように空力特性を考慮して設計されました。

BMW Z1

 トランクとバンパーの隙間からも空気を抜く構造になってます。

BMW Z1

 メーターはオートバイのものを持ってきて取り付けたかのようなデザインです。他のメータの指針は全て白なのになぜかタコメーターの指針のみが赤く着色されています。

BMW Z1

 Z1の最も興味深い装備の1つは通常とは異なるドアです。このドアはヒンジ式ではなく、ドアシル内部に垂直に引き込まれる構造です。

BMW Z1の価格

 新車のZ1は83,000から89,000ドイツマルク、または42,000から45,500ユーロで販売されました。2001年時点では中古のZ1が19.6%の付加価値税込みで125,000から250,000フラン(19,000から38,000ユーロ)で販売されていたようです。

 また、1991年の新車価格は375,000フラン、68,000米ドル(1uds=5.50ff)だったという情報もありました。

まとめ

 BMW Z1について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。BMW Z1は合計8,012台生産され、1991年6月に生産を終了しました。前述のようにBMW Z1は正規には日本に輸入されませんでした。現在、日本に存在するBMW Z1の大半は、アルピナ仕様のアルピナ・ロードスターです。

BMW Z1

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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