運転免許証の真偽確認に暗証番号が設定できるICカード運転免許証

　ICカード運転免許証とは、従来の運転免許証にICチップを内蔵したものです。
ICチップ内には、従来の運転免許証に記載されている内容及び写真と同じ情報が記録されます。
また、ICカード運転免許証は、プライバシー保護のため、申請時に暗証番号を設定する必要があります。

　ICカード運転免許証のICチップに記録された個人情報が、本人の意図しないところで読み取られることを防止するためのものです。
暗証番号は、申請時に申請者本人が設定するもので、任意の4桁の数字2組によって構成されます。
※　暗証番号は、次回の更新や再交付等の手続きまで変更できません。

　2つの暗証番号のうち、暗証番号｢1｣は、ICチップに記録された氏名、生年月日、免許証交付年月日、有効期間、免許の種類、免許証番号が確認できます。
　上記の内容に加え、本籍、顔写真を確認したい場合は、暗証番号｢1｣と｢2｣の両方を入力することにより、確認できます。
暗証番号を忘れると確認できなくなります。

　全国の警察は2007年から2010年にかけ、IC運転免許証に順次切り替えました。もしICカード免許証を偽造しようと思ったらICチップまで偽造しなければならなくなり、従来のものに比べて技術的にもコスト的にも難しくなりました。

　導入の背景には、架空名義の口座や携帯電話が、2000年代に現れた振り込め詐欺などの「犯罪ツール」として悪用されるケースが目立っていたからです。このため、システムを開発した警察庁は、本人確認をすれば犯罪防止に効果を発揮すると想定。金融機関や携帯電話販売店、レンタカーなどの窓口で暗証番号を入力してIC内部の情報を読み取る方法にしたのです。

　ICカード運転免許証のICチップには、免許証の表面に印刷されている情報と同じことが記憶されています。ですから、悪用しようとして表面だけを書き換えても、ICチップのデータと照合することにより、「改ざん」「悪用」が発覚するのです。

　主なメリットとしては、2つあります。
・1つは、運転免許証の偽造・変造の防止です。
運転免許証がICカード化されれば、その真正性の判別が確実にできることとなり、偽造・変造を防止することができます。
・もう1つは、運転免許証の券面に本籍を記載しないことで、国民のプライバシー保護に配慮します。
本籍は、ICチップに記録され、申請時に設定した暗証番号をICチップを読み取る機器に入力しなければ読み取ることはできません。

　しかし実を言うと、本籍地はどこに設定してもOKなもの。あまり遠いところにすると不便なこともありますが、皇居やディズニーランドを本籍地にしている人、甲子園球場を本籍地にしている熱心な阪神ファンもいるんだとか。防犯に関しても本籍地よりも現住所の方が隠したいケースが多いのでは？とちょっと不思議に思います。

　非接触型のICチップを使用しているため、暗証番号を設定していないと、市販のICカード読取装置を所持している人が何らかの理由で至近距離まで近づくと、ICチップ内の個人情報を読み取られるおそれがあります。

　暗証番号を3回続けて間違えると、それ以降は暗証番号が（ロックされ、ICチップに記録した内容が読み取れなくなります。
　ロック解除を希望する場合は、免許センター又は警察署の免許窓口の受付時間内に、ご本人が免許証を持参して申し出てください。手数料はかかりません。
　なお、暗証番号がロックされている状態であっても、有効期限内であれば、運転することは可能です。

　暗証番号を忘れても、運転免許の更新・再交付等の手続きに支障はありません。手続きの際に新たに「4桁の数字2組」の暗証番号を設定してください。
　なお、暗証番号の照会は、本人が免許センター又は警察署の免許窓口の受付時間内に、運転免許証をお持ちになった場合に限り暗証番号を回答します。電話での回答は一切行いませんので注意してください。

　ICカード運転免許証には、大事な個人情報が入っており、保管方法によっては正常に作動しない場合がありますので、折り曲げたり、ねじったり、重たい物を載せたり、衝撃を与えたりしないで大事にお使いください。
　また、保管する際には、次の場所を避けてください。
・高温になる場所
・ 直射日光の当たる場所
・水分、湿気の多い場所
・磁気の強い場所

　みなさん、金融機関や市役所、携帯販売店、レンタカーの窓口で運転免許証の提示を求められたことがあるでしょう。しかし暗証番号の操作を求められたことはありますか？　ほとんどの場合、運転免許証のコピーを取られるだけではないでしょうか。

　改ざん防止、偽造防止のために導入されたIC運転免許証ですが、データを見る器械は、警察署や免許センターなどにしか置いていないと思います。金融機関や市役所では表面印字しか確認していないのです。

　またICカードにすることで、将来いろいろな活用が考えられます。例えば警察では、金融機関や携帯電話販売店にICチップの読み取り機を置くことで、精巧な偽造免許証での銀行口座の開設や、携帯電話の契約などを防げると考えているようです。

　他にも車に免許証を差し込むことで、シートやミラーなどの調整を自動でできるシステムなどがあれば、1台の社用車を複数人で乗る場合にも便利。もしかしたら運転免許証を差し込まないと運転できない、無免許運転を防止するクルマが出てくるかもしれませんね。

　ICカード免許証のメリットについて色々と調べてみましたが、普及が先行しており、活用されるためのインフラなどの整備が追いついていない印象。ICチップの情報量も少なく、まだまだ改善の余地はありそうです。現在でも様々な活用法が憶測されているICカード免許証。これから、便利で安全性の高い使い方がたくさん出てくることに期待したいですね！