2015/10/31
ヒロメリー
スズキとフォルクスワーゲンの提携は、スズキの持つ小型車のノウハウとフォルクスワーゲンの環境技術で、次世代コンパクトカーの開発を目的にしたものでした。しかし、両社の考え方の違いにより2015年8月30日に国際仲裁裁判所の裁定で破綻しました。経過と理由を探ります。
スズキ(株式会社)は、自動車製造・2輪製造メーカーです。自動車は、主に小型車・軽自動車が、主力で、軽自動車は、ライバル会社 ダイハツ自動車と2強状態です。二輪は、世界3位の生産です。インドの4輪市場は、4割のシェアを持ってます。静岡県浜松に、本社があります。
鈴木修 会長
スズキの顔である、鈴木修会長は、自動車業界では、有名な方で、皆さんご存じと思います。
フォルクスワーゲンは、ドイツに本社を置く 自動車メーカーです。グループとして、関連企業 シェコダ ベントレー ブガッティがあり、アウディ・ポルシェも別ブランドとして保有してます。生産台数は、トヨタに次いで世界2位です。
フォルクスワーゲンを代表する車種 ゴルフは、フォルクスワーゲンの誇る大衆車です。
2008年9月15日 アメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻したことによって世界金融危機が発生しました。
この影響で、経済の冷え込みから、急激なドル安が進み、米国市場の依存が高い自動車産業は、販売台数の落ち込みがありました。
2009年12月 スズキとフォルクスワーゲンは提携を発表しました。
1フォルクスワーゲンが次世代の環境技術や高級車を提供し、スズキが小型車技術を提供する
2フォルクスワーゲンがスズキの発行済株式の19.9%を取得し、スズキは、フォルクスワーゲンの株を(フォルクスワーゲンがスズキ株式の取得に投じた金額の1/2を限度)として取得する。
3ハイブリット車の共同開発を行う。
以上が発表された内容でした。
注目された提携でした。
2011年3月に、フォルクスワーゲンがアニュアルレポートにスズキを持分法適用会社と記載し、対等提携と考えていたスズキは、大いに反発しました。この件が、提携悪化の長期化となりました。
2011年6月に、スズキがフィアットからディーゼルエンジンの供給を発生しました。スズキがフォルクスワーゲンから、技術提供を得られなかったのが理由でした。フォルクスワーゲンは、提携合意に反すると抗議しました。
2011年9月12日 スズキは、フォルクスワーゲンとの提携の解消の発表しました。理由として、フォルクスワーゲンがスズキを(財務的、経営方針上、重大な影響を与えることのできる)会社とみなした事が理由でした。
2011年11月 スズキは、国際仲裁裁判所に提訴しました。しかし、フォルクスワーゲンが筆頭株主であるかぎり、次の提携メーカーも探せず、スズキにとっては、苦しい日が続きました。
スズキ会長 フォルクスワーゲンとの提携解消の発表
2015年8月30日、スズキの鈴木修会長は、国際仲裁裁判所の提携解消決定を受け、記者会見を行いました。(スズキの求めていた通り、フォルクスワーゲンとの包括契約は終了し、フォルクスワーゲンがスズキ株を返還する。仲裁を申し立てた最大の目的は達成できた。これまで「のどに小骨が刺ったよう」と話してきたが、非常にすっきりした。)と発表しました。
フォルクスワーゲン 排ガス不正の解説図
2015年9月18日 アメリカ政府環境保護局(EPA)は、フォルクスワーゲンのディーゼルエンジンの違法性を指摘したと発表しました。フォルクスワーゲンのディーゼルエンジンに、(Defeat Device)が使用され、このディバイスは、排出ガスの室内試験の時だけ浄化装置を有効に作動させ、ユーザーがクルマを使用する時は、浄化装置が無効になるという悪質なプログラムが組み込まれていました。この問題のでるディーゼルエンジンのクルマは、世界で 1100万台であるようです。
スズキとフォルクスワーゲンとの提携は、解消されました。フォルクスワーゲンの拡大路線の基にスズキを子会社する目的の頓挫、スズキがフォルクスワーゲンの技術を得ることができず焦りが表面化し解消になりました。スズキにとっては、フォルクスワーゲン 排ガス不正を予見したものと思いますが、高い授業料を払う(株の買い取り額は、4600億円と予想)ことになりましたが、自社の研究開発で、注目の小型車を開発しています。この技術を他のメーカーが得たいと思った時、新たな提携が発表されるかもしれません。
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