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今もなお忘れられない名車「117クーペ」が新型へ改革されるまで

1968年に発売が開始された「117クーペ」。ハンドメイドとよばれた発売初期から量産への切り替えを経て、新型の発売に迫られたいすゞ。価格を下げ「新型117クーペ」へと改新的なモデルチェンジを行った。「新型117クーペ」へと移行した後も売上は好調だった。

【117クーペのデビュー】~新型117クーペが生まれる9年前~

「117クーペ」はイタリアの有名な工業デザイナーであるジョルジェット・ジウジアーロがギア社へ移籍後すぐにデザインした流麗なスタイリングを備えた4シーターのクーペであり、日本車を代表する車の一つである。「117クーペ」は1968年12月に発売されてから。「新型117クーペ」へのモデルチェンジを経た後、1981年前期の生産中止まで、いすゞのフラグシップを務めた。

117クーペ 1800XE(リア)

イタリアの著名なカロッツェリアであるギア社と提携したいすゞ自動車は、昭和41年3月のジュネーブ・モーターショーにて、1台の衝撃的なモデルを出品します。
「ギア・いすゞ 117SPORT」と呼ばれるこのプロトタイプは、今では自動車からパスタの形までデザインするという有名デザイナー、G.ジウジアーロが、ギア社に移籍した直後の若き日に、初めて手掛けたものでした。
彼が会心の作として送り出したこのクルマの持つ流麗なスタイリングは、イタリア国内でも賞を獲得するほどでした。

出典:http://117history.com

いすゞ 117クーペ(前編)-商品概要紹介

2010/10/28 にアップロード


トラックとバスの名門として知られるいすゞ自動車が、かつてモータースポーツの舞台で­活躍していた時代のフラッグシップモデル、「117クーペ」。その優美なボディは、イ­タリア人デザイナー、ジョルゼット・ジウジアーロが手がけており、1966年のジュネ­ーブモーターショーでプロトタイプが発表された際には、"最も美しい車&q­uot;を意味する「コンクール・ド・エレガンス」で優勝したほど。今なお色褪せない­美しさが詰まった1台を詳細に紹介!
(解説:モータージャーナリスト・熊倉重春)

いすゞ 117クーペ(後編)-試乗インプレッション

2010/10/28 にアップロード


実際に「117クーペ」に乗り込み、その乗り心地をテストドライブ。スポーティなエン­ジンを搭載しながらも、激しくコーナーを攻めるというよりは、優雅なクルーザーとして­じっくり運転を楽しむことに本質をおいた117クーペ。日本車初となる熱線によるリア­ウインドウの曇りとりや、クーペでありながらディーゼルエンジン搭載車を発表するなど­、当時のいすゞの自由でユニークな発想がたっぷり詰め込まれた1台を試乗インプレッシ­ョン!
(解説:モータージャーナリスト・熊倉重春)

「初代117クーペ」と「新型117クーペ」のエンジンスペック

初代117クーペのエンジン性能

Isuzu G161W engine on 117 Coupe.

エンジンは水冷直列4気筒の1,600cc、1,800cc、2,000ccDOHCおよびSOHCが基本だが、末期に2200ccディーゼル車が少数生産されている。

出典:http://ja.wikipedia.org

G161W 直列4気筒 1600cc 8バルブDOHC 120馬力
後にG-TRにも搭載された名エンジンだ。

いすゞ・117クーペ 

「新型117クーペ」のエンジン

昭和52年12月~
ヘッドライトが角目に。パワステ、エアコンなど装備の充実
1800XE _
1800XG 直4DOHC,1817cc,ECGI,130ps/6400rpm
1800XC-J _
1800XC _
1800XT-L 直4SOHC,1817cc,105ps/5400rpm
1800XT _
昭和53年11月~
2000ccにボアアップ。フルトラの採用、連動ドアロック、オートエアコンなど
2000XE 直4DOHC,1949cc,ECGI,135ps/6200rpm
2000XG 直4DOHC,1949cc,ECGI,135ps/6200rpm
2000XC-J 直4SOHC,1949cc,ECGI,120ps/5800rpm
2000XC 直4SOHC,1949cc,ECGI,120ps/5800rpm
2000XT-L 直4SOHC,1949cc,115ps/5600rpm
2000XT 直4SOHC,1949cc,115ps/5600rpm
昭和54年12月~
特別仕様車giugiaroとディーゼルモデルの追加。その他細かい装備の追加
2000XE _
2000XG _
giugiaro 直4SOHC,1949cc,ECGI,120ps/5800rpm
2000XC-J _
2000XC _
2000XT-L _
2000XT _
1800XT 直4SOHC,1817cc,110ps/5600rpm
2200XD-L 直4ディーゼル,2238cc,73ps/4300rpm
2200XD 直4ディーゼル,2238cc,73ps/4300rpm
注:空欄は前モデルと同一仕様

出典:http://117history.com

「新型117クーペ」の燃費

残念ながら、117クーペのカタログ燃費は表示がなかった為、現在ある情報から推測となる。
中古車である以上、メンテナンスの状態などにより幅があるのは致し方ない。
実燃費  7km/L~13.5km/L 
という時代から考えると、なかなか優秀であったと言えるであろう。

昭和53年式 117クーペ XE 1800CC DOHC
燃費率(60km/h・km/l) 16.0[13.5]
走行90200KM オートマチック 

出典:http://fuji.xsrv.jp

中古車の情報で、走行距離9万km超の車で、この燃費率は素晴らしいと思いませんか?!

「PA95 117クーペ」プラモデル

今でもプラモデルが売買されているようだ。
自作の117クーペは、見ていて飽きないだろう。

「117クーペ」の価格

当時はトヨタの高級車であるクラウン ス-パーデラックスの価格が112万という価格に対し、172万という高価格で発売された「117クーペ」。
流麗な曲線が魅力の「117クーペ」のボディーは量産が困難であった為、製造工程の多くを半分手作業で行っており、1968年に発売されてから5年近くは月の生産台数が50台程だったという。生産効率が低いため、172万という高価格となったのだ。
この為、半手作業の「ハンドメイド」とよばれ、更に車好きを魅了したのではないだろうか。

新型117クーペ 1800XG

月産30~50台というハンドメイドの少量生産ゆえ、当時の価格は172万円とかなりの高価格。現在の貨幣価値に換算すると800万円以上に値するだろう。

出典:http://jp.autoblog.com

発売当初172万円という価格が、1971年末に発売された1800Nは136万円という価格で売り出した。
~G180 ロチェスターシングルキャブエンジン搭載~
この為、今まで手が届かなかった庶民から見て、より身近なものとなった。

「117クーペ」から「新型117クーペ」へ

「117」クーペの歴史を大まかに説明すると、
● 初期1968年 - 1972年  
「ハンドメイド」と言われ人々を魅了した。
● 中期1973年 - 1976年  
1971年にGMと提携し、「117クーペ」へのGMからの資金と技術により、機械によるプレス成型を行うこととなり、1973年3月より量産化されることとなった。
● 後期1977年 - 1981年  
「117クーペ」が、角型4灯、ラバーバンパーなど初期からのイメージを大きく変え新型と呼ばれた。

生き残るためには形を変えなければならなかったのです。極論を言えば、117クーペは同じ名で生き残ってはいけなかったのかも知れません

出典:http://117history.com

やはり、「新型」への一番大きな変更は、ヘッドライトの丸型4灯から角型4灯へ形状変更でしょう。これには賛否両論がありましたが、私個人は嫌いではありません。
二つ目にバンパー部の変更。クロームメッキが施されたラバーバンパーとなり、三つ目にエアーダム型フェアリングロアーの採用です。

中期の「117クーペ」量産への切り替え後からは、コストダウンにより価格を下げ、販売台数を伸ばしていき、「新型」へのモデルチェンジ後も順調かに見えた。
しかし、ステンレスモールの仕上げやメッキなどの品質や内装など細部にわたり徹底したコストダウンの為、販売台数とは裏腹に「117クーペ」のユーザー満足度は低下していったようだ。

「新型117クーペ」の発売

外装・内装ともに大幅な変更を行った「新型117クーペ」の発売は1977年12月のことである。

流行は繰り返す、とよく言われますが、世がクルマに求めるものがシャープな外観とターボ搭載車に移行していた昭和50年代半ば過ぎ、117クーペに対する世間の反応は冷ややかでした。

出典:http://117history.com

やはり、どれほど美しいと人々を魅了しようとも、流行という流れには逆らえないものなのか?
最近は若者のクルマ離れが進み、実用的な感覚で購入する人が増えているようで、実際、スポーツカーと呼ばれるクルマが随分少なくなり、悲しい限りです。

後期「新型117クーペ」が生産中止を迎えるまで

「新型117クーペ」へモデルチェンジ後、厳しい排出ガス規制により国内の自動車メーカーがDOHCエンジンの生産を中止する中、「ツインカム」に最後までこだわりつづけた「いすゞ」は出力低下を補う為、1978年に「新型117クーペ」のエンジン排気量を2,000ccに拡大した。(G2000W)

新型にモデルチェンジされた後も、順調に販売台数を伸ばしていた「新型117クーペ」だったが、1980年に販売台数は半減し、盛り返すことはできなかった。
1981年6月に初代ピアッツァにG2000Wが引き継がれ、「新型117クーペ」も役目を終えた。
この頃が、いわゆる「ターボ時代」の幕開けであり、新型の角ばった自動車が往来し始めた時代である。

「新型」と呼ばれた後期モデルが造られたのは1977年だが、「117クーペ」のエンジンスペックは排ガス規制での改良を繰り返す中、1978年より排気量2,000ccに拡大された後、1979年より2,230ccのディーゼルエンジン搭載のXDが登場したのだ。

今では滅多にお目にかかれない「新型117クーペ」ですが、たまに見かけると気分も高揚します。
いつまでも人々を魅了してやまない美しいスタイリングの「117クーペ」の魅力を、読んでいただけた皆さんに少しでもわかって頂けたら幸いです。

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